テレビを見ていると、船に大量に捕獲され打ち上げられた寒ブリを見て
母が「美味しそう~!」と興奮していた。
調理されていない魚を見ても美味しそうとは思えない私。
・睡眠時間6
『盲目の秋』
4
せめて死の時には、
あの女が私の上に胸を披(ひら)いてくれるでせうか。
その時は白粧(おしろい)をつけてゐてはいや、
その時は白粧をつけてゐてはいや。
ただ静かにその胸を披いて、
私の眼に輻射してゐて下さい。
何にも考へてくれてはいや、
たとへ私のために考へてくれるのでもいや。
ただはららかにはららかに涙を含み、
あたたかく息づいてゐて下さい。
――もしも涙がながれてきたら、
いきなり私の上にうつ俯して、
それで私を殺してしまつてもいい。
すれば私は心地よく、うねうねの暝土(よみぢ)の径を昇りゆく。
『心象』
Ⅱ
亡びたる過去のすべてに
涙湧く。
城の塀乾きたり
風の吹く
草靡《なび》く
丘を越え、野を渉《わた》り
憩ひなき
白き天使のみえ来ずや
あはれわれ死なんと欲す、
あはれわれ生きむと欲す
あはれわれ、亡びたる過去のすべてに
涙湧く。
み空の方より、
風の吹く
(中原中也)
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